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    医療法人社団筑波記念会 筑波記念病院におけるSolemio QUEV導入事例

    消化器癌の早期発見や低侵襲治療が促進されるなか、消化器内視鏡診療を担う各医療機関の内視鏡室スタッフの業務は多忙を極めています。機器の適正な扱いや種々の入力業務の正確さ、衛生管理の徹底などが不可欠な環境にあって、業務効率や医療安全、診療の質の向上に寄与しうる内視鏡部門システムの活用が求められています。

夜間救急でも多数の内視鏡検査を実施する
医療法人社団筑波記念会筑波記念病院

2020年の病院情報システム更新に合わせて、Solemio QUEVを導入しました。
検査に付帯する業務の省力化や洗浄・消毒業務の効率化、医事・会計システムとの連携による患者さんの会計待ち時間短縮、さらには若手医師の教育ツールとしての活用など、医師、看護師、医事課職員の視点から多面的なメリットを語っていただきました。

筑波記念病院 システム間連携イメージ

  • Solemio QUEVの活用による検査業務の省力化、
    そして若手医師の学び
    内視鏡センター長 越智 大介 先生

オリンパス製スコープとの親和性と操作性の高さを評価

  • 当院の内視鏡センターでは、7名の常勤医と3名の専攻医に加え、必要に応じて筑波大学から非常勤医を派遣していただき、検査と治療を行っています。基本的に全員が上部消化管内視鏡(以下、上部)と下部消化管内視鏡(以下、下部)、胆膵内視鏡まで自ら担います。年間検査数は、コロナ禍の影響で減少していましたが、上部約3,100件、下部約2,100件に戻ってきました。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は増えており、以前は200件程度だったのですが、2021年度は300件に近づきました。加えて、近年は緊急の内視鏡検査が増えていることも当センターの特徴かもしれません。周辺に病院は多いのですが、夜間に内視鏡対応ができる施設が限られているからでしょう。
    また、当センターの運営上の特徴としては、定期的に多職種ミーティング「内視鏡連絡会」を開いていることが挙げられます。当センターの医師、看護師、薬剤師に医事課職員、外来看護師も加わり、患者対応の課題や薬剤の切り替えなどの情報を共有し、必要があれば改善に取り組みます。

  • Solemio QUEV(以下、QUEV)を導入したきっかけは、病院全体での病院情報システムの更新でした。オーダリングシステムから電子カルテシステムに変更するタイミングで、既設の内視鏡部門システムの保守期間も過ぎていたことから、新システムの導入を検討したのです。
    選定にあたっては、私と池澤和人副院長、添田敦子診療部長で話し合いました。重視したのは、当センターで使用しているオリンパス製スコープとの親和性、そして、池澤副院長が学会の展示でQUEVに実際に触れ、その操作性を評価していた点です。事務部門からも、現場の使いやすさを優先してよいと言ってもらえたので、純粋に私たちにとってメリットがあると考えられたQUEVの導入を決めたのです。
    導入前に懸念していたのは、電子カルテシステムとの連携、システム切り替え時の検査の停滞、切り替え後の過去の検査情報の参照についてです。前述のように当センターは緊急対応を求められる場面が多く、検査の停止や検査数を減らすことは、救急医療に大きな支障をもたらします。しかし、いずれの点も杞憂に終わりました。電子カルテシステムとの連携については、同システムのベンダーとオリンパスの間で綿密に整合してもらいました。また、切り替え時にはオリンパスが夜間対応の体制を組んでくれたため、診療現場では検査の受け入れや過去の検査情報の参照に大きな影響を及ぼすことなく、スムーズに立ち上げることができました。

スコープ情報の自動読み取りで業務負担軽減

  • 稼働後にメリットとしてまず感じたことは、やはりオリンパス製スコープとの親和性の高さです。以前の部門システムでは、検査開始時に患者情報とスコープ情報を、それぞれバーコードリーダをかざして読み取る必要がありました。QUEVでは、スコープを光源装置に挿入すれば自動的にスコープ情報が取得されるため、バーコード読み取りは患者情報の1回で済みます。検査途中でのスコープ変更時も同様であり、検査時にはこの1工程の省略が負担軽減になるのです。
    省力化という意味では、過去レポートのコピー機能もありがたいですね。定期検査の場合、検査後の所見入力(図1)では前回検査と同じ入力で済む項目も多いので、コピーできれば入力時間を短縮できます。また、所見入力漏れに対するアラート機能は、当院のように非常勤医師の派遣や専攻医の配置がなされている施設では特に有用と感じます。短期でローテートする医師はシステムの扱いに不慣れな間、所見入力漏れを起こしがちです。QUEVでは、各項目に必須入力設定をすることにより、所見未記入の項目があればアラートを発し、入力漏れをカバーしてくれます。

    図1  Solemio QUEVの検査後の所見入力画面

Solemio QUEVの教育的視点からの活用

  • 当院の内視鏡センターでは、7名の常勤医と3名の専攻医に加え、必要に応じて筑波大学から非常勤医を派遣していただき、検査と治療を行っています。基本的に全員が上部消化管内視鏡(以下、上部)と下部消化管内視鏡(以下、下部)、胆膵内視鏡まで自ら担います。  年間検査数は、コロナ禍の影響で減少していましたが、上部約3,100件、下部約2,100件に戻ってきました。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は増えており、以前は200件程度だったのですが、2021年度は300件に近づきました。加えて、近年は緊急の内視鏡検査が増えていることも当センターの特徴かもしれません。周辺に病院は多いのですが、夜間に内視鏡対応ができる施設が限られているからでしょう。
    また、当センターの運営上の特徴としては、定期的に多職種ミーティング「内視鏡連絡会」を開いていることが挙げられます。当センターの医師、看護師、薬剤師に医事課職員、外来看護師も加わり、患者対応の課題や薬剤の切り替えなどの情報を共有し、必要があれば改善に取り組みます。

  • 個人的な使用感としては、電子カルテを経由せずにワンクリックで過去の検査情報を一覧表示できるドックツリー形式表示が便利であると思います。病理所見も手軽に確認できますし、内視鏡に携わる現場医師の動きや気持ちをよく理解して開発された機能、操作性だと感じました。
    また、細かい点ではありますが、QUEVでは施行医のID入力が柔軟に行えることにも助けられています。当センターでは、複数の検査ブースを医師が入れ替わりで使用する際に、先に使用した医師のIDが残ったまま、次の医師が所見を入力してしまうことがあります。以前のシステムでは、自分のIDで入り直し、最初から再入力しなければならなかったのですが、QUEVは所見入力終了後、レポート登録する際にIDを訂正することが可能なため、誤登録の防止と省力化につながっています。

チーム医療の核となるSolemio QUEV

  • QUEVは、当センターのチーム医療において、核となるツールとして位置づけられつつあります。看護師が、QUEVで容易に呼び出せる過去の検査での患者さんの状態に関する記録を参考に、「スコープを細径に」などの提案をすることも頻繁にあります。また、前出の内視鏡連絡会で薬剤やデバイスの変更などを話し合った際に、会計業務に関わる変更があれば、医事課スタッフが迅速にQUEVのマスタ設定の変更を行ってくれます。QUEVに情報を集積し、その情報をベースに日常診療の質と安全性と効率性を高め、それをまたQUEVへと反映させるという業務サイクルが回り始めています。

  • さらなる活用に向けた要望としては、音声入力機能が加わってほしいですね。多数のポリープが見つかる症例や処置箇所の多い症例では、検査後の所見入力に長時間を要します。検査中のリアルタイムの印象を残しておきたいと思う医師も多いと思います。新しい技術が質の高い検査や治療、そして患者さんの安全に直結するようになってくれることを望んでいます。

  • Solemio QUEV導入による業務改善で
    医療安全や患者対応の質を向上
    看護師 塚田 文香 様

内視鏡洗浄・消毒業務の簡略化により汚染リスクを低減

  • 当センターには10名の看護師が配属され、うち8名が内視鏡技師の資格を取得しています。皆が豊富な経験を持っていますので、上部・下部、検査・治療で担当を分けてはいません。ただ、3つのブースと透視室1室を稼働しながら、患者さんの案内や前処置にも対応し、さらに洗浄業務担当の看護助手が不在の時にはそれも看護師の仕事になりますから、毎日の業務に余裕はありません。
    それだけにQUEVの導入によって、洗浄・消毒業務が簡略化されたことにはメリットを感じます。当センターでは以前からオリンパス製の内視鏡洗浄消毒装置(以下、洗浄機)を使用していましたが、部門システム切り替え前は、洗浄消毒履歴を記録するために必要な情報の登録に煩雑な手順を要していました。洗浄機が並んだ壁面の一画に設置されたモニタ上で、まずは使用する洗浄機を選択します。モニタ下部にあるセンサに、スコープに貼り付けたスコープ情報のバーコードを読み取らせ、洗浄・消毒担当者の情報も入力の上、使用する洗浄機にスコープをセットするという手順でした。

  • 検査後のスコープは不潔な状態にあり、安全性を高めるために、スコープを洗浄機に入れるまでの工程・動作はできる限りシンプルであることが望まれます。QUEVの導入によって、情報読み取りの動作は洗浄機前部に組み込まれたセンサにスコープのRFIDタグとユーザーIDカードをかざすだけになって効率化し、不潔なスコープが周囲と接触する汚染リスクも低減したと思います。

過去の検査情報を患者対応に反映

  • 看護師の業務として利便性が高いと感じるのは、病理検体のラベル印刷機能です。病理検体のラベルは、以前のシステムでは検査直後の登録作業時しか印刷できませんでした。QUEVでは検査前後の幅広い時間帯に端末から印刷できるため、検体採取が決まっている場合はあらかじめ、タイムアウトなどの準備時に出力しています。また、当センター専任の受付事務スタッフが出力したりもできますし、後からラベルが必要になった時にも出力できます。これにより、検査後の病理検体提出の業務フローが効率化されたと思います。

  • また、看護師は患者情報や過去の検査情報を確認しながら、個々の患者さんに対する準備を進めます。QUEVは医師の所見や看護記録などを簡易に表示できるため、それをしっかり確認した上で適切な検査準備ができるようになったと感じます。看護記録には検査時の患者さんの様子を残すようにしていますから、過去に苦痛を訴えていた患者さんであれば、細径スコープの使用を提案することもありますし、体が小さくて太めのスコープが適さないと思えた患者さんでも、前回検査がスムーズであればそのまま同じスコープを使用することもあります。種類・本数の限られたスコープを効率的に運用する上でも、患者さんの安心と安全を確保する観点でも、最適なスコープを選ぶことは重要と考えています。

実施入力を事務スタッフと分担し会計業務を効率化

  • 当センターではQUEVから検査・治療の実施入力業務を行っていますが(図2)、件数の多い上部・下部の検査については専任の受付事務スタッフが担い、治療や緊急対応の場合は看護師が行っています。利用頻度の高い実施入力項目の組み合わせは、QUEV導入時にマスタ登録されており、必要に応じて医事課スタッフが随時変更を加えてくれているため、このような分担が可能となっています。これにより、看護師の入力業務の負担軽減や会計業務の効率化につながっていると思います。

  • 最近は患者さんからの問い合わせに対して、QUEVで確認しながら対応し、自身の仕事を振り返る機会が増えました。限られた人員体制のなかで、内視鏡業務に求められる安全性の確保と業務の効率化を両立し、さらに患者対応の改善にもつながっていると思います。

図2 当院内視鏡センター内の端末設置状況

  • Solemio QUEV導入により会計業務の効率と精度を向上
    医事課 高橋 順一 様

医事・会計システムとの連携で
会計待ち時間短縮と算定漏れ防止へ

  • 病院経営における医事課の大きな課題は、患者さんの会計待ち時間短縮です。つまり、会計計算を正確かつ迅速に行うことが求められています。以前の内視鏡部門システム使用時は、上部・下部・胆膵内視鏡といった検査・治療の種類に関する実施情報が医事・会計システムに送られるのみで、会計計算に関わる具体的な手技や薬剤、デバイスなどの実施情報については内視鏡センターから紙で届き、事務部の会計担当者が医事・会計システムに手入力する必要がありました。
    QUEVを導入し、医事・会計システムと連携させたことによって、こうした手入力の労力が削減できました。加えて、手技、薬剤、デバイスを含む実施入力を内視鏡センターの受付事務スタッフもしくは看護師がQUEV上で行ったものに対し、事務部会計担当者が医事・会計システム上で再チェックし最終確定するフローとなったため、結果的に会計計算のダブルチェック体制が実現しています。

  • 会計業務は1人で行えば、ヒューマンエラーの可能性も高くなります。知識不足や多忙、患者さんを待たせてはいけないという焦りなど、ミスを犯す要因はいくつもあります。これに対し、QUEVからの実施入力では、周到に準備して作成したマスタ登録をベースにしているため、知識不足を補うことができる上、手入力に伴う見落としのリスクも軽減され、入力時の時間的余裕も生まれていると感じています。そこにダブルチェックが加わることでヒューマンエラーをより低減でき、加算等の診療報酬点数算定漏れ防止にもつながっていると感じていますし、患者さんの会計待ち時間も短縮したと思います。
    マスタ登録の作成にあたっては、内視鏡センターの看護師と医事課スタッフが打ち合わせを重ねました。「この検査であればこの手技になる「」この検査ではこのデバイス・薬剤が多い」などを話し合い、「この検査ならこの点数は取ろう」というコンセンサスも形成され、それがマスタ登録に反映されています。

統計機能によって医師別など詳細な内視鏡実施件数集計が可能

  • マスタ登録の作成時に感じたのは、QUEVのユーザーインターフェースの優秀さです。視覚的にわかりやすいため、システムに慣れていない人間でもすぐに扱えるようになりました。実際、マスタ設定の変更が必要な時にも、当院ではオリンパスのサポートセンターに頼ることなく、院内で完結できています。

  • また、医事課ではQUEVの統計機能(図3)を用い、当院の内視鏡診療実績について、医師別の実施件数などの集計結果を出力し、管理部門に月次報告しています。以前のシステムを使用していた当時は、詳細な項目別の集計結果出力を行うには、医事・会計システムのデータを用いる必要がありました。QUEVでは、医師別のほか、各種実施項目別など多様な切り口による件数集計を簡単に行うことができます。こうした情報を病院マネジメントに生かしていくことも可能ではないかと思います。

  • (a)データ抽出条件設定画面

  • (b)データ抽出後の画面

図3 Solemio QUEVの統計機能

PICK UP
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内視鏡マネジメントシステム  Solemio QUEV

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