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    Column  選ばれるクリニックを目指して

    クリニック様に向けた様々なコラム記事を掲載しております

第3回 地域との繋がり(他医院・施設との連携)

本コラムの情報は掲載日時点の内容となります。そのため、最新の情報と異なる場合がございます。
また、本コラム記事はライターよる執筆記事であり、当社見解と異なる場合がございます。


地域連携がもたらす未来

  •  高齢化の進展に伴い、複数の疾患にかかっている患者がクリニックを訪れることは珍しくなくなりました。その一方で医療の高度化・専門化はとどまるところを知らず、1人の医師が責任を持ってカバーできる医療の範囲は徐々に狭まっています。そのため、クリニックが単独で患者の診療すべてに対応することは難しく、地域の他の医療機関と連携することが必須になっています。
     クリニックが所在する地域で他の医療機関と協力し、互いに役割分担を図っていくことは、適切な医療を受けられるため患者の利益につながります。国も、医療機関の機能分化や連携を通じて、多様な医療を効率的に提供する体制づくりを進めています。今やクリニック経営は、地域連携なくして成り立たない時代になっているのです。


クリニックと合同カンファレンスやカルテ共有する病院も 

クリニックと病院の協力体制 

  •  地域連携の代表的な形態が、クリニックから病院に患者を紹介する「病診連携」です。クリニック院長の出身大学の関連病院への患者紹介など、個人的なつながりに基づく連携は古くから行われてきました。「入院は病院、外来はクリニック」というすみ分けに基づいて、入院後の患者を地域のクリニックへと戻す逆紹介も当たり前のように行われています。
     

  •  それに加えて近年は、国の政策の後押しを受けて、地域のクリニックとの連携に熱心に取り組む病院が増えてきました。「地域医療連携室」など専門の部署や担当者を置いて、地域連携の窓口としている病院も珍しくありません。紹介先の候補となりそうな病院については、あらかじめクリニックの院長がこうした部署を訪問して関係づくりをしておけば、その後の紹介・逆紹介がスムーズに進みます。
     

病院の新たな地域連携の形 

  •  また、最近では従来の紹介・逆紹介の枠を越えて、一歩進んだ病診連携に取り組む病院も出てきています。例えば、地域のクリニックに「かかりつけ医」としての登録を呼びかけ、そのリストを病院のホームページで公開するようなケースです。ほかにも高度な検査を引き受けたり、クリニックの患者のために病院のベッドを「開放病床」として使えるようにしている病院もあります。さらには、病院の医師とクリニックの医師による合同カンファレンスを開いたり、カルテ情報を共有したりする例もあります。

  •  こうした連携を成功させる鍵となるのが、紹介先の病院の医師と「顔の見える関係」を作っておくことです。主要な患者紹介先となる病院とは、日ごろから接点を増やすことを心がけましょう。


増えつつある「診診連携」や「医科歯科連携」 

 一方、医療機関の数が比較的多い地域では、クリニック同士が連携する「診診連携」の動きも見られるようになっています。例えば、内科クリニックを受診した患者に重度な排尿障害があった場合、泌尿器科クリニックに紹介するようなケースです。関節の痛みで整形外科クリニックを受診した患者が関節リウマチと診断されて、膠原病内科クリニックを紹介されるような例もあるでしょう。  また、病院への検査紹介と同様に、高度な検査を他のクリニックに依頼する診診連携も増えています。例えば、MRIを備えた脳神経外科クリニック。認知症の確定診断が必要な際に、内科クリニックなどからMRI検査を引き受けたりするケースが、これに当たります。消化器内科クリニックに内視鏡検査を依頼するような例も、近年増えてきた診診連携のスタイルです。  さらに、単独のクリニックでは対応が難しい24時間対応を、診診連携によって実現するケースも増えています。1人の医師が連日の24時間対応をこなすのは困難ですが、複数のクリニックが連携すれば難しくはありません。実際、在宅療養支援診療所の診療報酬には、診診連携を前提にした「連携型」というカテゴリーが設けられています。在宅の高齢患者の増加に伴い、こうした診診連携がますます増えていくことが予想されます。  このほか診診連携のバリエーションとしては、医科のクリニックが歯科クリニックと協力し合う「医科歯科連携」も登場しています。例えば高齢の糖尿病患者では歯周病を併発している例が多いので、歯科クリニックで口腔ケアを受けられれば、患者のQOL(生活の質)の維持・向上が見込めます。骨吸収抑制薬を服用している骨粗鬆症患者の顎骨壊死を予防する取り組みなども、理想的な医科歯科連携と言えるでしょう。


「医介連携」が2025年問題解決の切り札に? 

 さらに今後は、クリニックと介護施設や介護サービス事業者とが協力し合う「医介連携」が重要性を増していくと見られています。以前からクリニックが居宅介護支援業者(ケアマネジャー)に情報提供を行った場合には「診療情報提供料1」が算定できましたが、令和6年の診療報酬改定では、医介連携を推進するための様々な方策が打ち出されました(図)。  介護施設の協力医療機関となることが在宅療養支援診療所の要件とされたほか、その地域連携に基づいて往診などの医療サービスを提供した場合に算定できる加算が新設され、介護施設で実施できる医療サービスの範囲も拡大されました。また、地域包括診療料等の算定要件に、ケアマネジャーとの相談が義務化されるなどの制度変更も行われました。  一方、これとは逆に、介護施設に対しても介護報酬改定を通じて、協力医療機関を定めることなどが義務づけられました。病院だけでなくクリニックも協力医療機関となることができるので、医介連携を巡る政策動向は無視できません。  団塊の世代が全て後期高齢者となり医療・介護サービスの不足が懸念される「2025年問題」がいよいよ現実となる中、医介連携の必要性が高まっていくことは間違いありません。今後のクリニック経営に当たっては、自院の置かれた状況を的確に見極めて、地域連携を有効に活用していく手腕が求められます。

<「医介連携」推進のイメージ>

出典: 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【同時報酬改定における対応】」による 
   https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001252073.pdf

※医療機関の広告は、医療法等の法令により広告できる内容が制限されています。詳しくは厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/001304521.pdf)をご確認ください。

 

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