第1回 ネット情報を活用した集患・増患
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患者はどのようにクリニックを探すのか
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クリニックが集患・増患を図る上で、今やネットは不可欠なツールです。厚生労働省が定期的に実施している「受療行動調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/34-17.html)によれば、 外来受診時の情報入手先として最も多いのは「家族・友人・知人の口コミ」ですが、それに次ぐ「医療機関が発信するインターネットの情報」の割合が年々増えています。
特に20〜50代の比較的若い世代で、ネット情報を重視する傾向が顕著です。ネットを通じたクリニックのPR手段としてはホームページやブログが定番ですが、最近はFacebookやInstagram、LINEといったSNS(交流サイト)も存在感を増しています。
しかし、なんと言っても重要なのは、クリニックの顔と言うべきホームページです。
高齢者の多くは既にかかりつけ医を持っていますが、そうでない50代以下の中年層や若年層は、体調を崩して初めて医療機関を探します。その際に、まずはスマートフォンやパソコンでGoogleなどの検索サイトを訪れ、地名や診療科、病名、症状などを入力し、目当ての医療機関に関する情報を手に入れます。例えば、「◯◯町 内科」「△△駅 内視鏡」などの言葉で検索を行い、受診すべきクリニックに目星をつけるのです。
そのときに最初に目にするホームページは、集患・増患の行方を大きく左右します。
「あのクリニックに行こう」となるホームページとは
写真などで視覚的にクリニックの “雰囲気” を紹介する
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では、どんなホームページであれば「あのクリニックに行こう」と思ってもらえるのでしょうか。
クリニックのホームページ作成に携わる関係者が異口同音に語るのは、院長をはじめとするスタッフの写真の掲載が有効だということです。院長の人柄が感じられる親しみやすい写真は患者に安心感を与えますし、院内の明るい雰囲気を反映したスタッフの写真は来院の大きな動機づけになります。挨拶文や患者向けメッセージとともに院長の写真を掲載することは必須と考えましょう。 -
外観や受付、待合室、診察室はもちろん、駐車場・駐輪場なども患者にとっては気になるところなので、写真を載せるようにします。キッズスペースや感染防止のための控え室など特徴ある設備があれば、それらも写真で紹介しましょう。
写真の撮影は、多少費用はかかっても、プロのカメラマンに依頼することをお勧めします。素人が撮った写真とは、見栄えが大きく変わってくるからです。
クリニックの『こだわり』や『特徴』をPRする
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競合するクリニックと差別化できるポイントがあれば、ホームページ上で目立つようにPRすべきです。例えば内視鏡検査を手がけるクリニックであれば、見逃されやすい病変の診断をサポートする拡大内視鏡を備えていることや、それに伴いCSP(コールド・スネア・ポリぺクトミー)といった日帰り手術に対応していること、経鼻内視鏡や鎮静剤の使用によって検査の負担を軽減していることなどを、装置や症例の写真を交えて紹介することなどが考えられます。
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院長が得意とする疾患や検査・治療法について、患者向けに分かりやすく解説したページを設けることも集患・増患には効果的です。例えば泌尿器科の場合、膀胱炎や排尿障害など頻度が高い疾患について、よくある症状や各種検査法、治療の実際を体系的に紹介できれば理想的です。そこまでいかなくとも、ブログに連載する形で解説していく手もあります。文章は院長が書くに越したことはありませんが、ものを書くのが苦手という場合はプロのライターに頼んでもよいでしょう。
専門家の手を借りてネットでの集患をさらに本格的に
ホームページの制作は、専門に手がける業者が数多く存在します。専門家の手を借りれば、見やすく患者へのアピール度が高いデザインのホームページが実現しますし、掲載する写真や文章についての相談にも応じてもらえます。また、Googleなどの検索サイトで上位に表示させるための「SEO対策」や、検索連動広告の出稿などを依頼することも可能です。オリンパスでも新規に開業するクリニック向けにホームページ開設サービスを用意していますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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SNSの活用も集患・増患の強力な武器に
SNSも使い方次第で集患・増患の強力な武器になります。利用者が多いLINEやX(旧twitter)、Instagramなどを効果的に利用したいところです。患者に「友だち」として登録してもらったり、クリニックのアカウントをフォローしてもらえれば、メッセージや画像を直接送ることができます。以前は患者にメールアドレスを登録してもらい、クリニックからメールマガジンを送る手法が一般的でしたが、SNSは患者へのアピール度が高いため、活用するクリニックが増えています。
例えば、インフルエンザワクチンの予防接種の告知。シーズン前から接種の実施時期を告知して、そこにクリニックの予約システムのURLを入れておけば、患者はそのまま接種日を予約できます。このようにSNSは、予約システムとの連携などクリニックのDX(デジタルトランスフォーメーション)と相性が良いのが特徴です。また、連休前の混雑が予想される時期に、あらかじめ早めに受診するよう訴えかけることにより、来院患者の平準化を図るなどの使い方も可能です。
ハードルは、患者に「友だち」登録をしてもらったりフォローしてもらうことですが、そのためにはアナログ的な手法も活用しましょう。会計時に、クリニックのアカウントにつながる二次元バーコードを記載した案内を手渡したり、自由に持ち帰れるポケットティッシュに二次元バーコードを記した紙を挟んだりするとよいでしょう。患者アンケートに回答する際などに、ついでに登録やフォローを働きかけるのも一法です。
また、初診患者にしばらくたってから様子伺いのダイレクトメールを送って再受診を促すというのは以前からある集患・増患のテクニックですが、そのDMに二次元バーコードを記して登録やフォローを促すのも有効です。継続的に接点を持つことにより、患者のことを気にかけているクリニックの姿勢を伝えるようにすれば、次に体調を崩したときには自然と「あのクリニックにまた行こう」と思ってもらえるようになるはずです。
なお、クリニックによるSNS利用は、無料ないし低額で可能なのがうれしいところです。集患・増患のためにSNSを使わない手はないと考え、ぜひトライしてみてください。
【企画・編集 日経メディカル開発】
※医療機関の広告は、医療法等の法令により広告できる内容が制限されています。詳しくは厚生労働省の「医療広告ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/001304521.pdf)をご確認ください。
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